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成分・サプリ

NADサプリとは|NAD+は吸収される?NMN・NRとの違い

飲んだNAD+が人の血液や細胞で増えるかを測った試験は今回見つかりませんでした。材料のNRとNMNは血液のNAD+を上げますが、体の働きが変わるかは別です。中身の違い、ビタミンB3との関係、国内の商品を一次資料で整理します。

結論

「NADサプリ」には、NAD+(細胞の中でエネルギーの受け渡しに使われる補酵素)そのものを入れた商品と、体の中でNAD+の材料になるNMN・NR(ニコチンアミドリボシド)を入れた商品があり、商品名にNAD+とあっても主な成分がNMNのこともあります。飲んだNAD+について、厚生労働省の資料は、食品中のNADは消化管でニコチンアミド(ビタミンB3の一つ)まで分解されてから取り込まれると説明しており、NAD+そのものを飲んで血液や細胞のNAD+を測った人の試験は今回見つかりませんでした。NRとNMNは、人の試験で1日1,000mg前後を2週間ほどとると血液のNAD+がおよそ2倍になると報告されています。ただし血液の値が上がっても体の働きが変わるとは限らず、NRを52週間とったパーキンソン病の410人の試験では、症状の点数がプラセボ(有効成分の入っていない偽の食品)より悪い結果でした。今回読んだ資料の範囲では、NAD+は飲んで特定の病気や症状がよくなると確かめられた成分ではありません。

この記事の基準日: 2026年11月6日。NRとNMNの人の試験の論文とまとめの解析、NADの消化を調べた動物の論文、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」と食薬区分の通知、欧州食品安全機関(EFSA)の評価、販売元のページを読んで書きました。点滴は医療にあたるため、この記事では扱いません。医師の監修は受けていません。

「NADサプリ」の中身は何が違うのか

「NADサプリ」と呼ばれる商品の中身は、原材料名を見ると大きく3つに分かれます。

  • NAD+そのものを入れた商品。原材料名に「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド」と書かれています。
  • NADH(NAD+が電子を受け取った形)を入れた商品。
  • NAD+の材料を入れた商品。NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)とNRが代表です。

商品名だけでは区別できません。たとえば三井製薬の「NAD+エネルギー濃縮PRO」は、公式ページの成分の表示に載っているのがβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)450mg(2粒あたり)などで、NAD+の量は書かれていません。買う前に、原材料名と「何が1日何mg入っているか」を確かめる必要があります。

成分どういう物か分子量300mgに含まれるニコチンアミドの分(計算)厚生労働省の一覧(2026年5月28日更新)飲んで血液のNAD+を測った人の試験
NAD+細胞の中で働く補酵素そのもの663.4約55mg名前が見つからない今回見つからず
NMNNAD+の材料334.2約110mg「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない」一覧に掲載多数(NMNの効果は確かめられているか)
NR(塩化物)NAD+の材料290.7約126mg同じ一覧に「ニコチンアミドリボシドクロライド」として掲載多数(下の表)
ニコチンアミドビタミンB3の一つ122.1300mg同じ一覧に「ナイアシン(他名 ニコチン酸)」が掲載あり。1日500mgを14日間とっても、血液のNAD+はプラセボと差がなかった

出典: 分子量はPubChem(NAD+)、EFSA(NMN・NRの塩化物)、厚生労働省(ニコチンアミド)。ニコチンアミドの分は、分子量の比から当サイトが計算しました(NMNとNRはEFSAの示す109.7mg・126mgと合います)。体の中で実際に使われる量を示す数字ではありません。2026年11月6日に確かめました。

NAD+の分子はNMNの約2倍の重さがあるため、同じ300mgでも、含まれるビタミンB3の部分はNMNの半分ほどです。商品のmgの数字を成分の違いを無視して比べることはできません。

NAD+は何をしている物質で、何に効くのか

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、ナイアシン(ビタミンB3)はNADとNADPの形で補酵素になり、電子の受け渡しをします。糖や脂肪からエネルギーを取り出す反応、脂肪酸の合成、アルコールの代謝、ビタミンC・Eを介する抗酸化の仕組みなど、さまざまな代謝に関わります。NADはDNAの合成や修復、細胞の分化に関わる反応の材料にもなります。ナイアシンが足りなくなると、皮膚炎・下痢・精神神経症状を主な症状とするペラグラという欠乏症が起こります。

つまりNAD+は体に欠かせない物質です。ただし「体に欠かせない」ことと「サプリで足すと体の何かがよくなる」ことは別の問題です。NAD+が年齢とともに減るという話の根拠はNMNの効果は確かめられているかに、NAD+を使って働く酵素サーチュインの話はサーチュイン遺伝子の記事に分けています。

「NAD+は何に効くのか」という問いには、今回読んだ人の試験から次のように答えられます。

  • 繰り返し確かめられていること: NRやNMNをとると血液のNAD+が上がる。
  • 差が出なかった試験が多いこと: 筋肉のNAD+そのもの(NR)、インスリンの効き方(NR)、認知機能(NR)、60歳を超える人の筋肉の量と働き(NMNとNRのまとめの解析)。
  • 差が報告されたが確かめきれていないこと: 足の動脈の病気の人の歩く距離(NR)、炎症にかかわる物質(NR)。
  • 調べられていないこと: NAD+そのものを飲んだ時の血液や細胞のNAD+、寿命、見た目の変化。

飲んだNAD+は吸収されるのか

厚生労働省の資料の説明

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、食品に含まれるNADとNADPについて、調理・加工の過程と消化管の中でニコチンアミドに分解されると説明しています。体に取り込まれるのはニコチンアミドで、そのためナイアシンと同じ働きを持つ物として数えられています。これは食品の中のNADについての説明で、サプリのNAD+を人で測った結果ではありませんが、消化の前提を知る手がかりになります。

動物の実験

ラットの実験(Gross と Henderson、1983年)では、印を付けたNADを追うと、小腸の消化液の酵素がNADを切り、できたNMNはすばやくNRに変わりました。NRはたまるものの吸収されず、粘膜の酵素でゆっくりニコチンアミドになり、吸収された物は主にニコチンアミドでした。

マウスの実験(Kimura ら、2006年、滋賀県立大学)では、口から与えたNAD+は、尿に出るニコチンアミドとその代謝物の増え方が、ニコチンアミドを与えた時と同じようになりました。NADHでは増えず、著者は消化管の中でニコチンアミドを作れない物に変わるとみています。NADHは胃に近い酸性の条件ですぐ別の物質に変わることも確かめられました。動物の結果が人で同じとは限りません。

2021年の総説(She ら)も、口からとったNAD+は血液や組織のNAD+を十分に増やせず、細胞膜をそのまま通れないと説明しています。一方で、NAD+を通す道としてコネキシン43というたんぱく質の報告もあり、細胞が直接取り込むことはないという見方は見直される可能性があるとも書いています。

人の試験はあるのか

今回、論文データベース(Europe PMC)で「口からとるNAD」を調べて47件の題名を確かめ、別に一般の検索でも探しましたが、NAD+そのものを飲んで血液や細胞のNAD+を測った人の試験は見つかりませんでした。「吸収されないと人で証明された」のではなく、「人で測った結果が見つからない」というのが正確なところです。

カプセルの工夫についても同じです。「胃で溶けずに腸まで届ける」腸溶性カプセルをうたう商品がありますが、ラットの実験でNADを切っていたのは小腸の消化液の酵素でした。腸溶性カプセルに入れたNAD+が人の血液や細胞でどうなるかを調べた試験は、今回見つかりませんでした。

1粒135mgのNAD+が仮にすべてニコチンアミドになるとすると、約25mg分です(当サイトの計算)。ナイアシンの1日の推奨量(成人で10〜16mgNE)より多い程度の量です。人の試験では、ニコチンアミドを1日500mg、14日間とっても血液のNAD+はプラセボと差がありませんでした(Christen ら、2026年)。ただしNAD+が人で同じ道をたどるかは測られていないので、ここから商品の働きを決めることはできません。

NADHの人の試験

NADHには人の試験がありますが、どれも人数が少なく、結果は分かれています。慢性疲労症候群の26人が1日10mgを4週間とった入れ替えの試験(Forsyth ら、1999年)では、よい反応があった人がNADHで8人、プラセボで2人でした。慢性疲労症候群の73人の試験(Castro-Marrero ら、2015年)はコエンザイムQ10 200mgとNADH 20mgを8週間一緒にとったもので、疲れの点数はプラセボより下がりましたが、NADHだけの働きは分かりません。アルツハイマー病の26人が1日10mgを6か月とった試験(Demarin ら、2004年)では総合の点数に差が出た一方、注意力や記憶の項目には差がなく、認知症の25人に1日10mgを3か月与えたプラセボなしの試験(Rainer ら、2000年、完了19人)では認知機能への効果は見られませんでした。

NADとNMN、NRの違いは何か

NAD+は細胞の中で働く物質そのもので、NMNとNRはその材料です。細胞の中では、NRはNRキナーゼとNMNATという酵素の働きで、ニコチンアミドはNAMPTとNMNATの働きでNAD+になります(Gasparrini ら、2021年)。NRとNMNの違いは分子の大きさと通り道にあり、NRは細胞の中へ入る運び役が知られています。NMNがそのままの形で細胞に入るかは議論が続いています。NMNの試験の詳しい話はNMNの効果は確かめられているかに、商品の選び方はNMNサプリの選び方と比較に書いています。

NRとNMNを同じ条件で比べた人の試験を2本確かめました。

  • Christen ら(2026年、Nature Metabolism): 健康な65人が1日1回、NR 1g(16人)、NMN 1g(15人)、ニコチンアミド0.5g(17人)、プラセボ(17人)を14日間とりました。全血のNAD+はNRとNMNでおよそ2倍になり、プラセボとの差はNRで49.4μM、NMNで43.1μMでした。ニコチンアミドは差がありませんでした。どの群か本人にも分かる試験で、ネスレの研究所で行われ、複数の著者が同社の社員です。
  • Berven ら(2026年、iScience): 健康な6人がNRとNMNを1日1,200mg、8日間ずつ入れ替えてとり、全血のNADはNRで平均約161%、NMNで平均約69%増えました。脳のNADは8日間ではどちらも統計的に確かな変化がありませんでした。人数が少なく、プラセボも置いていません。著者2人はNRをパーキンソン病に使う特許の出願の発明者です。NRを4週間とった段階では、血液のNADは2週間ほどで頭打ちになり、やめると2〜3週間でほぼ元に戻りました。脳のNADはパーキンソン病の6人で約29%増えましたが、測る方法の感度には限界があると著者は書いています。

1本は差がなく、1本はNRが大きいという結果で、どちらが上とは言えません。また「飲んだNMNやNRがそのままの形で細胞に届く」という説明にも疑問が出ています。マウスの実験(Yaku ら、2025年)では、口から与えたNMNとNRで小腸から直接吸収された分はわずかで、多くは腸内細菌の働きでニコチン酸に変わってから肝臓でNAD+の材料になりました。動物の結果が人で同じとは限りません。Christen らの試験でも、人の腸内細菌がNRとNMNをニコチン酸に変えることが試験管の実験で示されました。

NRは人の試験で何が分かっているのか

NRはビタミンB3の仲間で、NAD+の材料です。主な人の試験を古い順に並べます。「入れ替え」は、同じ人がNRとプラセボの両方を時期を分けてとる形の試験です。

試験(発表年)対象1日の量・期間変わったこと変わらなかったこと・注意
Trammell ら(2016年)健康な30〜55歳の12人100・300・1,000mgを1回ずつ(入れ替え)血液の細胞のNAD+が量に応じて増え、1,000mgでは24時間の合計で約90%増効果は調べていない。ほてりなどの訴えが300mgと1,000mgで各2人。NRのメーカーのChromaDexが資金とNRを提供
Airhart ら(2017年)健康な8人2,000mgまで増やす(9日目に測定)全血のNAD+が約2倍プラセボなし。有害事象なし
Martens ら(2018年)健康な55〜79歳。30人をくじで分け24人が完了1,000mg・6週間(入れ替え)血液の細胞のNAD+が約60%増血圧と血管の硬さは補正後に差なし。体組成・血糖・インスリン・運動能力は変わらず。ChromaDexが錠剤と資金の一部を提供
Dollerup ら(2018年)BMI 30超の40〜70歳の男性40人2,000mg・12週間重い有害事象なしインスリンの効き方、糖の処理、エネルギー消費、体組成は改善せず
Conze ら(2019年)過体重の40〜60歳の140人100・300・1,000mg・8週間全血のNAD+が56日目に10%・48%・139%増有害事象はプラセボと同程度でほてりの報告なし。ChromaDexの資金
Elhassan ら(2019年)70〜80歳の男性12人1,000mg・21日間(入れ替え)血液のNAD+が2倍以上。筋肉のNAD+の関連物質が増え、血液の炎症にかかわる物質の一部が下がった筋肉のNAD+そのもの、ミトコンドリアの働き、握力、血糖は変わらず
Remie ら(2020年)過体重・肥満の成人13人(平均59歳)1,000mg・6週間(入れ替え)脂肪を除いた体の重さの割合が1.34ポイント増インスリンの効き方、筋肉のミトコンドリアの働き、筋肉のNAD+そのものは変わらず。多くの項目を補正なしで調べている
McDermott ら(2024年)末梢動脈疾患(足の動脈が細くなる病気)の90人1,000mg・6か月(レスベラトロールを足した群もあり)6分間に歩ける距離がプラセボより17.6m長い(片側P=0.08で、この試験が決めた基準P<0.10を満たす)レスベラトロールを足した群は差が3.7mで基準に届かず。下痢はNRで39.3%、プラセボで27.6%。ChromaDexがNRを提供
Shoji ら(2025年、千葉大学)ウェルナー症候群(老化に似た変化が早く進む遺伝性の病気)の9人1,000mg・26週間(入れ替え)血液のNAD+が増え、血管の硬さの指標CAVIがプラセボの期間より下がった血圧、握力、歩く速さ、筋肉の量は差なし。一番に調べた安全性では、NRの期間に中等度以上の有害事象なし。人数がとても少ない
Wu ら(2025年)新型コロナの後遺症のある58人2,000mg・最長20週間血液のNAD+が約2.1〜3.1倍一番に調べた認知機能、疲れ、睡眠、気分は群の差なし。NRのメーカーが資金の一部を提供
Martens ら(2026年)軽度認知障害の65歳以上。52人をくじで分け42人が完了1,000mg・12週間血液のNAD+が約2倍一番に調べた認知機能、脳全体の血流、血圧は改善せず。NRのメーカーがカプセルを提供
Brakedal ら(2026年、NOPARK)診断から2年以内のパーキンソン病の410人(ノルウェーの11施設、平均65.6歳)1,000mg・52週間症状の点数(MDS-UPDRS)がNRで2.45点悪化、プラセボで0.27点改善(差2.72点、P=0.02)非運動症状の点数もNRのほうが悪化(差4.22点、P=.009)。重い有害事象はNRで8.3%、プラセボで14.1%。著者は、病気の進みを変える治療としてNRを支持しないと結論。著者の一部はNRをパーキンソン病に使う特許を持ち、NRのメーカーに使用を許諾している

出典: 各論文(下の出典の一覧)。2026年11月6日に抄録または本文で確かめました。Trammell らの1,000mgの増え方は血液の細胞、Conze らの値は全血と、測る場所が試験で違います。

ここから言えるのは、NRで血液のNAD+が上がることは人数の大小を問わず繰り返し確かめられている、ということです。一方で、体の働きが変わるかは別で、筋肉のNAD+そのものは増えなかった試験があり、インスリンの効き方や認知機能にも差が出ていません。

25本の人の試験を読み直した2023年の総説(Damgaard と Treebak、Science Advances)は、NRを口からとって臨床的に意味のある効果が見られたものは少なく、報告された効果を大きく言いすぎる傾向があると書いています。炎症を下げる可能性は今後の検討に値するとしています。2025年のまとめの解析(Prokopidis ら)も、平均年齢60歳超の人で筋肉の量と働きを保つ目的でNMNやNRをとることを、今の根拠は支持しないと結論しました。

今回読んだ中で一番大きく長い試験がNOPARKです。これはパーキンソン病の人の結果で、健康な人に同じことが起きるとは限りません。悪い方向の差が出た理由も、抄録からは分かりません。ただ、ほかの試験で血液のNAD+が上がった量を1年とっても、病気の人の症状の点数がよくならなかった実例として知っておく意味があります。

NRは安全なのか

短い期間の試験では、大きな問題は報告されていません。140人に1日1,000mgまでを8週間与えた試験では有害事象の数がプラセボと同程度で、40人に2,000mgを12週間与えた試験でも重い有害事象はありませんでした。52週間のNOPARKでも、重い有害事象の割合はプラセボより高くありませんでした。

ただし、よいことばかりの結果ではありません。2,000mgを最長20週間とった新型コロナの後遺症の試験では、有害事象でやめた人が、最初からNRをとった群で21.6%、先にプラセボをとった群で9.5%でした。多くは胃腸・皮膚の軽い症状と頭痛です。NRと別の成分(プテロスチルベン)を組み合わせた試験では、総コレステロールとLDLコレステロールの変化がプラセボより大きかったことが、先の総説で指摘されています。同じ総説は、どの群も開始時からは変わっておらず臨床的な意味は分からないとし、後の6か月の試験では差が出なかったと書いています。

EFSAは2019年、NRの塩化物を健康な成人が1日300mgまで、妊娠中・授乳中の人が230mgまでとる条件なら安全と結論しました。上の表の試験の多くは、この300mgより多い量を使っています。何年もとり続けた時の結果は、今回読んだ人の試験にはありません。NMNの副作用はNMNの副作用と安全性にまとめています。

ビタミンB3(ナイアシン)とはどう関係するのか

厚生労働省の基準では、ナイアシンは狭い意味ではニコチン酸とニコチンアミドを指し、広い意味ではナイアシンとして働く化合物の総称です。体の中でアミノ酸のトリプトファンからも作られるため、必要な量はナイアシン当量(mgNE)で示されます。EFSAはNRとNMNを、体がナイアシンを得られる供給源と評価しています。

年齢推奨量・男性(mgNE/日)推奨量・女性(mgNE/日)耐容上限量・男性(ニコチンアミド mg/日。かっこ内はニコチン酸)耐容上限量・女性(ニコチンアミド mg/日。かっこ内はニコチン酸)
18〜29歳1511300(80)250(65)
30〜49歳1612350(85)250(65)
50〜64歳1511350(85)250(65)
65〜74歳1411300(80)250(65)
75歳以上1310300(75)250(60)

出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」ナイアシンの表(2026年11月6日に確かめた)。妊婦・授乳婦の耐容上限量は、十分な報告がないため設定されていません。

耐容上限量(健康への害が出ないとされる上限の量)は、強化食品やサプリのニコチン酸・ニコチンアミドについての値です。普通の食事では、ニコチンアミドは多くても100gあたり10mg程度で、とりすぎの健康障害の報告は見当たらないとされています。一方、大量に与えた報告では、消化器の症状(消化不良、重い下痢、便秘)や肝臓の障害(肝機能の低下、劇症肝炎)が起きた例があり、これが上限の根拠です。ニコチン酸で起きる皮膚の赤みは一時的で健康上の悪影響はないとして、上限の指標には使われていません。

サプリの量と比べると、NRの塩化物1,000mgは計算上ニコチンアミド約420mg分で、日本の耐容上限量(ニコチンアミド250〜350mg)を上回ります。ただし日本の上限はニコチン酸とニコチンアミドそのものの値で、この基準にNRやNMNの上限は書かれていません。EFSAが用いるニコチンアミドの上限は1日900mgで、機関によっても違います。少なくとも、試験で使われた量をそのまま毎日の目安にしないほうがよいことは言えます。

「それならナイアシンを多くとれば同じか」という問いには、Christen らの試験がひとつの答えを示します。14日間で血液のNAD+が上がったのはNRとNMNで、ニコチンアミドでは差がありませんでした。ほてりについても違いがあり、NRの8週間の試験ではほてりの報告がありませんでした(Conze ら)。一方、NRを1回とった試験でもほてりの訴えはありました(Trammell ら)。

国内で買えるNADサプリの中身と値段

2026年11月6日に販売元のページを開いて、中身と値段を確かめられた商品です。順位は付けていません。表の量は表示の値で、当サイトが中身を測ったものではありません。

商品(販売元)主な成分1日の目安と量内容量価格1日あたりほかに書かれていること
プライムNAD+(Future Science。販売業者は株式会社らしく。楽天市場の店)NAD+そのもの(原材料名「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド」、名称「NAD+含有加工食品」)1粒でNAD+ 135mg30粒5,980円(税込)約199円5-アミノレブリン酸リン酸塩、タウリン。腸溶性カプセル。商品名の「4050mg」は30粒の合計。国内のGMP認定工場で製造
三井製薬NAD+エネルギーサポート(三井製薬)NMN1〜3粒。2粒あたりNMN 400mg60粒参考価格55,000円(税込かの記載なし)2粒で約1,833円2粒あたりコエンザイムQ10 50mg、ピロロキノリンキノン20mg。この価格でのオンライン販売はしていないと記載
三井製薬NAD+エネルギー濃縮PRO(三井製薬)NMN1〜3粒。2粒あたりNMN 450mg90粒参考価格112,000円(税込かの記載なし)2粒で約2,489円2粒あたりコエンザイムQ10 50mg、ピロロキノリンキノン20mg、発酵黒にんにくの抽出物の粉末80mg、L-テアニン80mg。この価格でのオンライン販売はしていないと記載

出典: 各商品のページと三井製薬の発売の案内(2026年11月6日に確かめた)。1日あたりは当サイトの計算で、1円未満を四捨五入しました。価格は変わることがあります。楽天市場の商品名には期間限定の割引の表示がありました。

読む時の注意が3つあります。1つ目は、商品名の大きな数字は合計のことがある点です。「4050mg」は1日量ではなく、1日量は135mgです。2つ目は、NMNが主成分の商品は1mgあたりの値段を計算できる点です。三井製薬の2商品は参考価格で計算すると1mgあたり約4.6円と約5.5円で、ほかの成分も入っています。NMNの商品どうしの比べはNMNサプリの選び方と比較に、目的と予算からの絞り方はNMNサプリおすすめの選び方に書いています。3つ目は、NAD+とNMNをmgあたりの値段で比べても意味が薄い点です。分子の重さが違い、体に入る前提も違います。

NRとNADHの商品は表に入れていません。2026年11月6日に楽天市場とYahoo!ショッピングの検索結果の商品名を見た範囲では、Source Naturals、Life Extension、TRU NIAGEN、NOW Foods など海外ブランドの名前が多く、「お取り寄せ」と書かれた物もあり、国内の販売元の公式ページで量と値段を確かめられる商品は、今回見つかりませんでした。国内の会社が2022年にNRのサプリを含む「SIRTAGE」の製品群を発表していますが、今の値段と1日の量は確かめられていません。海外から取り寄せる商品は、この記事では案内しません。

NAD+の商品の中身を第三者が測った報告も、今回は見つかりませんでした。NMNでは、18製品のうち表示の量との差が10%以内だったのは7製品という報告があります(NMNサプリの選び方と比較)。

厚生労働省や海外の公的機関はどう扱っているのか

日本では、口に入れる物が医薬品に当たるかを判断する参考として、厚生労働省が「食薬区分」の一覧を出しています。NMNとニコチンアミドリボシドクロライド(NRの塩化物)は、2020年3月31日の通知で「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」の一覧に加えられ、2026年5月28日に更新された一覧にも載っています。同じ一覧には「ナイアシン(他名 ニコチン酸)」もあります。

この一覧の意味には注意が要ります。厚生労働省の基準は、この一覧について、医薬品に当たるかを判断するための参考で、食品としての安全性などを評価した一覧ではないと書いています。載っていることは「安全と確かめられた」という意味ではありません。また、病気の治療や予防をうたうと、成分にかかわらず医薬品とみなされることがあります。

NAD+そのもの(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の名前は、2025年6月30日更新の一覧の全文と、2026年5月28日の更新で確かめた範囲では、「専ら医薬品として使用される成分本質」の一覧にも、上の一覧にも見つかりませんでした。一覧は例示で、どちらにも載っていない成分は、事業者が資料を出して厚生労働省の判断を求める手続きがあります。NAD+についてどう判断されたかは、今回読んだ公開の資料では確かめられませんでした。気になる場合は販売元に尋ねることができます。

機能性表示食品の届出があるNMNの商品はNMNサプリの選び方と比較で紹介しています。NAD+やNRに届出があるかは、今回確かめていません。

海外では、EFSAが2019年にNRの塩化物を、2026年に化学合成のβ-NMNを評価し、どちらも妊娠中・授乳中の人を除く成人で1日300mgまでの条件なら安全と結論しました。どちらも安全性と栄養素としての評価で、体の働きがよくなると認めたものではありません。

まだ分かっていないこと

  • NAD+そのものを飲んだ時に、人の血液や細胞のNAD+がどう変わるか。今回、測った試験は見つかりませんでした。
  • 腸溶性カプセルなどの工夫で、NAD+の届き方が変わるか。
  • 国内で売られているNAD+の商品に、表示どおりの量が入っているか。
  • NRやNMNを何年もとった時の安全性。今回読んだNRの試験で一番長いのは52週間です。
  • 健康な人で、病気になる人が減るか、長生きにつながるか。
  • パーキンソン病の試験で悪い方向の差が出た理由と、ほかの病気や健康な人に当てはまるか。
  • NRとNMNのどちらが血液のNAD+を上げるか。同じ条件で比べた試験は人数が少なく、結果がそろっていません。
  • 血液のNAD+の上がり方に人による差が大きい理由と、差が体の働きに関係するか。
  • 腸内細菌がNRとNMNを変える働きが、人の体の中でどれだけ大きいか。

注意

持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中・授乳中の人は、NADサプリをとる前に医師に相談してください。パーキンソン病など治療中の人は、自己判断で始めず主治医に相談してください。商品の目安量を超えてとらず、ナイアシンを含むほかのサプリと重ねる時は合計の量に気をつけてください。体に異変を感じたらとるのをやめて医師に相談してください。この記事は診断や治療の代わりになりません。

出典

よくある質問

NAD+は何に効くのですか?

NAD+は体の中でエネルギーを取り出す反応やDNAの修復に関わる、欠かせない物質です。ただ、サプリでとって何かに効くかは別の問題です。人の試験で繰り返し確かめられているのは、NRやNMNをとると血液のNAD+が上がることです。筋肉の量やインスリンの効き方、認知機能は差が出なかった試験が多く、特定の病気や症状がよくなると確かめられた成分ではありません。

NADとNMNの違いは何ですか?

NAD+は細胞の中で働く補酵素そのもので、NMNはその材料です。分子の重さはNAD+がNMNの約2倍あります。人の試験が多いのはNMNとNRで、NAD+そのものを飲んだ試験は今回見つかりませんでした。商品名にNAD+とあっても主な成分がNMNのことがあるので、原材料名を確かめてください。

飲んだNAD+は吸収されますか?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、食品に含まれるNADは消化管でニコチンアミドに分解されてから取り込まれると説明しています。ラットとマウスの実験も同じ方向の結果です。NAD+そのものを飲んで人の血液や細胞のNAD+を測った試験は今回見つからず、腸溶性カプセルで変わるかも分かっていません。

NR(ニコチンアミドリボシド)は安全ですか?

1日1,000〜2,000mgを8〜12週間とった試験では、重い有害事象の増加は報告されていません。欧州食品安全機関は2019年、NRの塩化物を健康な成人が1日300mgまで、妊娠中・授乳中の人が230mgまでとる条件で安全と結論しました。一番長い試験でも52週間で、何年もとった時のことは分かっていません。パーキンソン病の人の52週間の試験では、症状の点数がプラセボより悪い結果でした。持病がある人や薬を飲んでいる人は医師に相談してください。

NADサプリのおすすめはどれですか?

順位は付けていません。人の試験があるのはNMNとNRで、NAD+そのものは人のデータが見つかっていないことを踏まえて選ぶことになります。原材料名で成分を確かめ、1日あたりの量を見ます。商品名の大きな数字は合計のことがあります。効果をはっきりうたう広告は、試験の結果と照らして読んでください。

サプリを比べるなら

含有量・1mgあたりの値段・届出の有無で比べた表は、NMNサプリの比較の記事にあります。

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