NMNサプリの選び方と比較|含有量・1mgの値段・届出の有無
NMNサプリは1日あたりのNMNの量と1mgあたりの値段で比べると違いが分かります。公式ページで確かめた商品では1mgあたり約1.2〜4.3円と3倍以上の差がありました。人の試験で分かっている範囲、安全性と発がん性の論点、機能性表示食品の届出も一次資料で整理します。
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結論
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)のサプリは、1日あたりのNMNの量(mg)と、値段をNMNの総量で割った「1mgあたりの値段」で比べると違いがはっきりします。2026年11月に公式ページで確かめた商品では、1日の量は125〜300mg、1mgあたりの値段は計算できた5商品で約1.2〜4.3円と、3倍以上の開きがありました。人の試験では1日250mg前後を数週間から12週間とって重い有害事象は報告されていませんが、どの試験も人数が少なく期間も短く、何年もとった時の安全性やがんへの影響は人では確かめられていません。機能性表示食品として届け出た商品は、何の機能を届け出たかを消費者庁のサイトで誰でも確かめられます。
この記事の基準日: 2026年11月6日。人の試験の論文(慶應義塾大学・東京大学医学部附属病院・ワシントン大学ほか)と2025〜2026年のまとめの解析、欧州食品安全機関(EFSA)の評価、厚生労働省と消費者庁の資料、各メーカーの公式ページを読んで書きました。医師の監修は受けていません。
NMNとはどんな成分か
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、体の中でNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド。細胞の中でエネルギーの受け渡しに使われる補酵素)の材料になる成分です。ビタミンB3の仲間に入り、食品ではブロッコリー、枝豆、アボカド、マッシュルーム、肉の赤身などに含まれます(東京大学医学部附属病院の2022年の発表)。
同じ発表によると、NAD+の体の中の濃さが下がることは、老化や年齢とともに増える病気と深く関係していると考えられており、NMNをとると年齢によるNAD+の低下が戻ることが、多くの動物実験で示されてきました。たとえば米国の研究チームの実験では、ふつうの餌で育てたマウスに12か月NMNを飲ませたところ、年齢とともに増える体重の増え方が抑えられ、エネルギー代謝や体の動き、インスリンの効き方などが良い方向に変わり、はっきりした毒性は見られませんでした(Mills ら、Cell Metabolism、2016年)。ただし、マウスの結果が人で同じとは限りません。
日本では、2019年9月の厚生労働省の会議で、NMNは判断の基準に当てはまる項目がなく食品にも含まれることから、「医薬品的な効能効果をうたわない限り、医薬品とは判断しない成分」とするのが妥当とされました。2024年3月の厚生労働省の通知でも、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドはこの一覧の成分として扱われ、輸入・販売・製造をする事業者には原材料の安全性を確保するよう指導することになっています。つまり、NMNは食品として売ることができますが、病気の治療や予防をうたうと医薬品の扱いになります。
EUでは、欧州食品安全機関(EFSA)が2026年5月、化学合成したβ-NMNを成人向けのサプリメントに使うことについて、1日300mgまでという使い方なら安全だと結論しました。EFSAは、300mgのNMNはビタミンB3の一つであるニコチンアミド約110mg分に当たると計算しています。
NMNサプリを選ぶ時、どこを見ればよいか
NMNサプリの比べ方に、国が決めた物差しはありません。この記事では、公的な資料と論文で裏づけのとれる6つの項目で見ます。
1. 1日あたりのNMNの量(mg)
商品名や広告にある大きな数字は、1袋に入っているNMNの総量のことがあります。比べる時は「1日の目安量(何粒)に何mg入っているか」に直します。下の表にまとめた人の試験で一番多い量は1日250mg(慶應義塾大学、東京大学医学部附属病院、ワシントン大学、DHCの研究所の試験)で、300mg・600mg・900mg・1200mgと量を変えて比べた試験もあります。量を変えた60日間の試験では、血液中のNADはどの量の群でもプラセボより上がり、600mgと900mgの群で最も高くなりました。ただ、それより長い期間で量どうしを比べた人の試験は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
2. 1mgあたりの値段
値段を「1日のNMNの量×日数」で割ると、NMN 1mgあたりの値段になります。たとえば30日分32,184円(税込)で1日250mgの商品なら、32,184円÷(250mg×30日)=約4.3円です。NMN以外の成分(コエンザイムQ10やレスベラトロールなど)が一緒に入っている商品は、その分の値段も含まれる点に気をつけてください。また、この計算は表示どおりにNMNが入っていることが前提です(後の節で、表示と中身が違った例を紹介します)。
3. 「β-NMN」と書いてあるか
厚生労働省の一覧に載っている名前も、EFSAが評価した成分の名前も「β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(β-NMN)」です。原材料名や成分の表示にβ-NMNと書いてあるかは、何を入れているかを確かめる手がかりになります。ただ、β-NMNと書いてあることと、表示どおりの量が入っていることは別の話です。
4. 純度の表示と、第三者による製品の分析
「純度99%以上」という表示は、原料のNMNの純度を指していることがあります(日本新薬の商品ページは、純度を「NMN原料について」と書き分けています)。その場合、1粒にどれだけ入っているかを示す数字ではありません。製品そのものを第三者の検査機関で分析したと公開しているか(日本新薬・ファンケル・大正製薬の商品ページには第三者による分析の記載があります)を見ると、もう一歩確かめられます。
5. 製造の国とGMP
GMP(適正製造規範。原料の受け入れから出荷まで、品質を管理する決まり)に沿って作っているかも目安になります。消費者庁の決まりでは、天然の抽出物や化学的に合成したものを原料にした錠剤・カプセルなどの機能性表示食品は、2026年9月1日以降に製造する分からGMPの基準に沿った製造が求められます。この決まりの対象は機能性表示食品と特定保健用食品です。それ以外のサプリでは、商品ページの「国内のGMP認定工場で製造」などの表示が手がかりになります。
6. 機能性表示食品の届出があるか
機能性表示食品は、販売前に消費者庁長官へ届け出れば機能性を表示できる制度で、事業者が自らの責任で、安全性と機能性の科学的な根拠を届け出ます。国が個別に審査・許可したものではありませんが、届け出た内容は消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」で誰でも見られます。NMNでは、次のような届出があります。
- 届出番号I230(株式会社CloudNine「Refeelas サプリメント」): 1日3粒にNMN 125mg。届出表示は「本品にはNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)が含まれるので、肌が乾燥しがちな方の肌の潤いおよび肌弾力を維持し、肌の健康を助ける機能があります。」です。
- 届出番号J1063(三菱商事ライフサイエンス): NMN 300mgを含む錠剤・カプセル剤などの加工食品。研究レビューを根拠にした届出で、届出表示は「本品にはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)が含まれます。β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)には、年齢とともに低下する中高年の方の歩く力を維持する機能が報告されています。」です。2025年4月9日に届出情報が公開されました。
届出の機能は、届け出た量と、届け出た対象の人(肌が乾燥しがちな人、中高年の人)についてのものです。また、機能性表示食品の届出者は、2024年9月から、医師が診断した健康被害の情報を保健所などへ伝えることが決まりになっています。
日本で買える主なNMNサプリを比べるとどう違うか
製薬会社・食品会社などの公式ページを開き、価格・1日の目安量・1日のNMNの量・品質の表示を書き写して、1日あたりと1mgあたりの値段を計算しました。値段は税込で、送料や初回だけの割引は入れていません。
| 商品(販売元) | 1日の目安 | 1日のNMN | 価格(税込) | 1日あたり | NMN 1mgあたり | 品質の表示(公式ページの記載) | 機能性表示食品の届出 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| NMNサプリメント(日本新薬) | 3粒 | 250mg | 8,800円(90粒・30日分) | 約293円 | 約1.2円 | β型NMN純度99%以上(原料)。国内GMP認定工場で製造。製造ごとにNMNの含量を第三者機関で分析。長命草・レスベラトロール・コエンザイムQ10なども含む | 記載なし |
| NMN(ファイテン) | 2粒 | 125mg | 10,800円(60粒・30日分) | 360円 | 約2.9円 | β-NMN(国内製造の原料)。純度98%以上。国内GMP認定工場で製造。ビタミン11種類・難消化性デキストリンなども含む | ページに届出番号・届出表示の記載なし |
| NMN×CoQ10(ファンケル) | 4粒 | 300mg | 35,721円(30日分) | 約1,191円 | 約4.0円 | β-NMN。第三者分析で純度99%以上と認められたNMNを使用。還元型コエンザイムQ10を100mg含む | 記載なし |
| NMN taisho(大正製薬) | 3粒 | 250mg | 32,184円(30日分)。定期の2回目以降は27,356円 | 約1,073円 | 約4.3円(定期は約3.6円) | NMN純度99%以上。日本国内で製造。GMPの記載は見当たらず。レスベラトロール・エラグ酸・ビタミンB群も含む | 記載なし(名称は「NMN含有加工食品」) |
| Refeelas サプリメント(CloudNine) | 3粒 | 125mg | 16,200円(90粒)。定期の2回目以降は14,580円 | 540円 | 約4.3円(定期は約3.9円) | 純度99%以上。健康食品GMP認証の工場で製造。複数の善玉菌も配合と記載(原材料名は大豆発酵物) | あり(I230・肌の潤いと弾力) |
| NMNファイナ(三菱商事ライフサイエンス) | 確かめられず | 確かめられず | 32,400円(60袋・30日分)。定期は29,160円 | 1,080円 | 計算できず | 使う原料はすべて国内製造(2023年の発売時の発表) | 記載なし |
出典: 各社の公式商品ページと発表資料(日本新薬ヘルスケア公式ショップ、ファイテン公式ストア、ファンケルオンライン、大正製薬ダイレクトと大正製薬の2023年3月1日の発表、Refeelas 公式ショップ、三菱商事ライフサイエンス公式ショップと2023年3月29日の発表)。2026年11月5〜6日に確かめた値です。1日あたりは1円未満、1mgあたりは小数第2位を四捨五入した当サイトの計算です。価格は変わることがあります。
1mgあたりの値段は、約1.2円から約4.3円まで開きがありました。1日の量が同じ250mgでも、1日あたりの値段は約293円と約1,073円で3倍以上違います。値段の安い商品にも高い商品にもNMN以外の成分が一緒に入っているものがあるため、1mgあたりの値段だけで良し悪しは決まりません。「NMNファイナ」は、公式の商品ページと発売時の発表で1日あたりのNMNの量を確かめられなかったため、1mgあたりは計算していません。ミライラボやDHCなど、ほかによく名前の出る商品は、公式ページで値段と1日の量を確かめられなかったため載せていません。
NMNは人の試験で何が分かっているか
NMNの人の試験は、日本・米国・中国・インドなどで行われています。主なものを並べます。プラセボは、見た目が同じで有効成分の入っていない偽の食品のことです。
| 試験(発表年) | 対象 | 1日の量・期間 | 変わったこと | 変わらなかったこと・注意 |
|---|---|---|---|---|
| 慶應義塾大学(Irie ら、2020年) | 健康な日本人男性10人。プラセボなし | 100・250・500mgを1回 | 5時間の観察で目立った症状はなく、NMNが体の中で代謝されてできる物質が量に応じて増えた | 心拍数・血圧・体温・目の検査・睡眠の質は変わらず。一部の血液の値は動いたが基準の範囲内 |
| 慶應義塾大学(Yamaguchi ら、2024年) | 健康な中年の日本人男性11人。プラセボなし | 250mg・8週間 | 血液の細胞のNAD+が増えた。問題なくとり続けられた | 食後のインスリンが少し下がったのは、もともと多かった3人だけ |
| ワシントン大学(Yoshino ら、2021年) | 前糖尿病(糖尿病の手前)で過体重または肥満の閉経後の女性25人(NMN 13人・プラセボ12人) | 250mg・10週間 | 筋肉でインスリンが糖を取り込ませる働きが上がった | 血糖・血圧・血中の脂質・肝臓のインスリンの効き方・肝臓の脂肪は変わらず。研究の責任者は、この結果で臨床の勧めをするのはまだ早いと述べている |
| 東京大学医学部附属病院(Igarashi ら、2022年) | 65歳以上の健康な男性42人(12週の解析は各群10人) | 250mg・12週間 | 血液のNAD+が増え、歩く速さと左手の握力に改善 | 筋肉の量・体組成・血糖・脂質・認知機能・血圧は変わらず。論文は探索的な解析で、大きな試験で確かめる必要があるとしている |
| 中国・広州(Liao ら、2021年) | 走る練習をしている市民ランナー48人 | 300・600・1200mg・6週間 | 600mgと1200mgの群で、運動中の酸素の取り込みと、換気が切り替わる時点のパワーが改善 | 最大酸素摂取量やピークパワーは差なし |
| インド(Yi ら、2023年) | 40〜65歳の健康な80人 | 300・600・900mg・60日間 | 血中のNADがどの量でも上がり、6分間に歩ける距離が伸びた | インスリン抵抗性の指標(HOMA-IR)は差なし |
| 日本(Fukamizu ら、2022年) | 20〜65歳の健康な男女31人 | 1250mg・4週間 | 安全性を見る試験。血液・尿・体組成の検査で、ふだんの変動を超える変化はなく、重い有害事象もなかった | 効果は調べていない |
| 日本(Katayoshi ら、2023年) | 40〜59歳の健康な男女36人 | 250mg・12週間 | 血管の硬さの指標(脈波伝播速度)が下がる傾向 | プラセボとの差は統計的に確かでない(p=0.097)。有害事象なし |
出典: 各論文と大学の発表(下の出典の一覧)。2026年11月5〜6日に抄録・本文・発表資料で確かめました。
ここから言えるのは、1日250mg前後のNMNを数週間とると、NAD+やその仲間の物質が血液の中で増えることが、測った試験のほとんどで確かめられている、ということです。一方、歩く速さ・筋肉・血管などの指標が変わったという結果は、1つの試験の人数が10〜80人と少なく、試験によってそろっていません。
複数の試験をまとめて計算し直した解析もあります。2025年の解析(Prokopidis ら)は、平均年齢が60歳を超える人の試験を集め、NMNで筋肉の量・握力・歩く速さに差は見られず、今の証拠は筋肉の量や働きを保つ目的でNMNをとることを支持しないと結論しました。東京大学医学部附属病院の試験で見られた歩く速さの改善は、ほかの試験と合わせると確かめられなかったことになります。2026年の解析(Yang ら)は15件の試験(1日250〜2000mg、14日〜24週間)をまとめ、体重・空腹時の血糖・HbA1c・血中の脂質・上の血圧に意味のある変化はなく、下の血圧がわずかに下がる兆しがあったとしています。
もう一つ知っておきたいのは、試験の多くにNMNを扱う会社が関わっていることです。東京大学医学部附属病院の試験は三菱商事ライフサイエンスの受託研究で、1250mgの安全性試験も同社が資金と試験食品を出しています。血管の試験はDHCの研究助成で同社の研究所の研究者が行い、インドの試験は中国と米国の会社2社の資金で行われました。ワシントン大学の試験は米国立衛生研究所(NIH)などの資金で行われましたが、NMNとプラセボのカプセルはオリエンタル酵母工業が提供し、論文の利益相反の節には、著者の1人が大学を通じてNMNに関わる特許の使用料の一部を会社2社から受け取っていること、別の1人がNMNに関わる特許の出願の発明者であることが書かれています。資金の出どころだけで結果が誤りとは言えませんが、会社から独立した大きな試験の結果が待たれます。
NMNサプリは危険か、発がん性はあるか
人の試験で分かっている安全性
1日1250mgを4週間(31人)、900mgまでを60日間(80人)とった試験で、重い有害事象は報告されていません。1250mgの試験では、細菌を使って遺伝子への影響を見る検査(エームス試験)でも変異原性は見られませんでした。2026年の解析でも、15件の試験を通して有害事象の数や、肝臓の検査値(ALT・AST)の上昇は増えていませんでした。ただし、これは数週間から24週間の短い期間の結果です。
欧州食品安全機関(EFSA)の評価
EFSAは2026年5月の評価で、遺伝毒性(遺伝子を傷つける性質)の懸念はないとしました。ラットに90日間与えた試験では、体重1kgあたり1日800mgで雄の生殖器(精のうと前立腺、精巣上体)の重さが増え、400mgでは悪い影響が見られなかった(NOAEL=悪い影響が出なかった一番多い量)としています。人の試験については、申請した会社が行った1日300mg・60日間のプラセボと比べた試験と、900mgまでのほかの試験で安全性の問題が見られなかったことを根拠の一つにしました。そのうえで、成人が1日300mgまでとる条件なら安全と結論しています。対象は18歳以上の成人で、妊娠中・授乳中の人は対象から外されています。
がんとの関係
「NMNに発がん性はあるのか」という問いには、人ではまだ答えが出ていない、というのが正確なところです。人の試験は人数が10〜80人、期間が長くても24週ほどで、がんが増えるかどうかを調べられる大きさ・長さではありません。
気になる動物の結果もあります。2019年の研究(Nacarelli ら、Nature Cell Biology)では、膵臓がんになりやすい遺伝子を持つマウスに、NMNを体重1kgあたり500mg、毎日おなかの中へ注射して13日間与えたところ、がんの前段階の病変が増える方向の変化と、炎症にかかわる物質(IL-1β・IL-6など)の増加が見られました。著者は、NAD+を増やすサプリメントは、老化に対する良い面と、がんを後押ししうる炎症の面のつり合いを考えて慎重に使うべきだと書いています。この実験は注射で多い量を与えたもので、口からとるサプリと同じではなく、人で同じことが起きるかは分かっていません。一方、口から12か月与えたマウスの研究では、はっきりした毒性は見られていません(Mills ら、2016年)。
NMNサプリは表示どおり入っているか、広告はどう見ればよいか
シンガポール国立大学などの研究チームは2024年、オンライン・薬局・メーカーから手に入れたNMNの18製品の中身を測りました(Sandalova ら、GeroScience)。表示の量との差が10%以内だったのは7製品で、表示より20%以上少ない製品が6つあり、3製品はNMNが検出されないか量を測れませんでした。どの国の商品かは論文に書かれておらず、日本の商品に同じ割合が当てはまるとは限りませんが、表示だけでは中身を確かめきれないことを示しています。
買う側にできることは、製品を第三者機関で分析したと公開しているかを見ること、メーカーの公式サイトか正規の販売店で買うことです。大正製薬は自社の通信販売のページで、「NMN taisho」の偽造品の販売について知らせています。
広告の見方にも注意が要ります。消費者庁は2024年11月13日、大正製薬に景品表示法に基づく措置命令を出しました。大正製薬が商品の無償提供と対価を条件にInstagramへの投稿を頼み、その投稿の一部を自社サイトに載せていたのに、頼んだ投稿であることを明らかにしていなかったため、ステルスマーケティング(広告であることを隠した宣伝)にあたると判断されたものです。SNSの感想や口コミは、会社が頼んで書かれたものの場合があります。
まだ分かっていないこと
- 何年もとり続けた時の安全性。今回読んだ人の試験は長くても24週ほどでした。
- 病気になる人が減るか、長生きにつながるか。今回読んだ人の試験は、血液の値や歩く速さなどを数週間から24週間測ったもので、病気になった人の数や寿命を比べたものではありません。
- がんへの影響。人では調べられておらず、マウスでは注射でがんの前段階の変化を進めた報告と、口から12か月与えて毒性が見られなかった報告があります。
- 女性や持病のある人での結果。上の表の8件のうち3件は男性だけの試験で、女性だけの試験は前糖尿病の閉経後の女性25人の1件です。
- どれだけの量が適しているか。量どうしを比べた試験は、6週間と60日間のものでした。
- 原料の作り方(酵母を使う方法や化学合成など)の違いで、人での結果が変わるか。比べた人の試験は今回見つかりませんでした。
- 会社から独立した、数百人規模の試験の結果。
注意
持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中・授乳中の人は、NMNサプリをとる前に医師に相談してください。EFSAの評価は妊娠中・授乳中の人を対象から外しており、機能性表示食品の届出をした商品のページにも、妊産婦・授乳婦・未成年者・病気の人を対象に開発した食品ではないと書かれています。がんの治療中の人や、がんになったことがある人も主治医に相談してください。目安量を超えてとらず、体に異変を感じたらとるのをやめて医師に相談してください。この記事は診断や治療の代わりになりません。
出典
- ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)で高齢男性の運動機能が改善(東京大学医学部附属病院・2022年)
- Chronic nicotinamide mononucleotide supplementation elevates blood nicotinamide adenine dinucleotide levels and alters muscle function in healthy older men(npj Aging・2022年、Europe PMC 収録の本文)
- Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice(Cell Metabolism・2016年、Europe PMC 収録の抄録)
- 令和元年度第2回医薬品の成分本質に関するワーキンググループ議事概要(厚生労働省・2019年)
- 「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」の食品衛生法上の取扱いについて(厚生労働省・2024年)
- Safety of beta-nicotinamide mononucleotide (β-NMN) pursuant the regulation (EU) 2015/2283 and the bioavailability of nicotinamide from this source(EFSA Journal・2026年、Europe PMC 収録の本文)
- 機能性表示食品について(消費者庁)
- 機能性表示食品制度に関する説明会 資料(消費者庁・2026年)
- Refeelas NMN 機能性表示食品の届出番号と届出表示(株式会社CloudNine・2026年11月確認)
- ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)で機能性表示食品の届出受理(三菱商事ライフサイエンス・2025年)
- 人生100年時代を健やかに生きる 大正製薬品質のサプリメント「NMN taisho」新発売(大正製薬・2023年)
- 完全国内生産NMNサプリメント『NMNファイナ』を新発売(三菱商事ライフサイエンス・2023年)
- Effect of oral administration of nicotinamide mononucleotide on clinical parameters and nicotinamide metabolite levels in healthy Japanese men(Endocrine Journal・2020年)
- Safety and efficacy of long-term nicotinamide mononucleotide supplementation on metabolism, sleep, and nicotinamide adenine dinucleotide biosynthesis in healthy, middle-aged Japanese men(Endocrine Journal・2024年)
- Anti-aging compound that improves metabolic health in mice improves muscle glucose metabolism in people(ワシントン大学・2021年。Science 掲載の Yoshino らの試験の発表)
- Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women(Science・2021。資金・NMNの提供・利益相反の節)
- Nicotinamide mononucleotide supplementation enhances aerobic capacity in amateur runners(Journal of the International Society of Sports Nutrition・2021年、Europe PMC 収録の抄録)
- The efficacy and safety of β-nicotinamide mononucleotide (NMN) supplementation in healthy middle-aged adults(GeroScience・2023年)
- Safety evaluation of β-nicotinamide mononucleotide oral administration in healthy adult men and women(Scientific Reports・2022年)
- Nicotinamide adenine dinucleotide metabolism and arterial stiffness after long-term nicotinamide mononucleotide supplementation(Scientific Reports・2023年)
- The Effect of Nicotinamide Mononucleotide and Riboside on Skeletal Muscle Mass and Function: A Systematic Review and Meta-Analysis(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle・2025年、Europe PMC 収録の抄録)
- Safety and Metabolism-Related Outcomes of Oral Nicotinamide Mononucleotide Supplementation in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis(Nutrients・2026年、Europe PMC 収録の抄録)
- NAD+ metabolism governs the proinflammatory senescence-associated secretome(Nature Cell Biology・2019年)
- Testing the amount of nicotinamide mononucleotide and urolithin A as compared to the label claim(GeroScience・2024年)
- 大正製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁・2024年)
- NMN taisho の商品ページと偽造品の販売についてのお知らせ(大正製薬・2026年11月確認)
よくある質問
NMNサプリは本当に効果がありますか?
人の試験では、1日250mg前後を数週間とると血液中のNAD+やその仲間の物質が増えることが繰り返し報告されています。歩く速さや筋肉のインスリンの働きが変わったという試験もありますが、人数が10〜80人と少なく、2025年のまとめの解析では60歳以上の人の筋肉の量・握力・歩く速さに差は見られませんでした。体で感じられる効果があると言い切れる段階ではありません。
NMNサプリは危険ですか?発がん性はありますか?
1日1250mgを4週間、900mgまでを60日間とった試験などで、重い有害事象は報告されていません。欧州食品安全機関は2026年、成人が1日300mgまでとる条件で安全と結論し、遺伝毒性の懸念もないとしました。ただ、人の試験は長くても24週ほどで、がんが増えるかを調べたものはありません。マウスに注射で多い量を与えた研究では膵臓のがんの前段階の変化が進んだ報告もあり、人で発がん性がある・ないとはまだ言えません。
NMNサプリは本物ですか?表示どおり入っているか見分けられますか?
2024年に18製品の中身を測った研究では、表示との差が10%以内だったのは7製品で、3製品はNMNが検出されないか量を測れませんでした。「純度99%以上」は原料の純度を指していることがあり、1粒の中の量を示すものではありません。製品を第三者機関で分析したと公開しているか、メーカーの公式サイトか正規の販売店で買うかを確かめるのが、買う側にできることです。
NMNは1日に何mgとればよいですか?
国が決めた量はありません。人の試験で一番多い量は1日250mgで、300〜1200mgを比べた試験もあります。欧州食品安全機関は成人で1日300mgまでの条件で評価しています。商品の目安量を超えてとらず、持病がある人・薬を飲んでいる人・妊娠中や授乳中の人は、とる前に医師に相談してください。
機能性表示食品のNMNと、ふつうのNMNサプリは何が違いますか?
機能性表示食品は、事業者が安全性と機能性の科学的な根拠を販売前に消費者庁に届け出て、決まった機能を表示できる食品です。国が個別に審査したものではありませんが、届け出た内容は消費者庁のサイトで誰でも見られます。NMNでは肌の潤いと弾力(1日125mg)や中高年の歩く力(1日300mg)の届出があります。錠剤・カプセルなどの届出品は、2026年9月1日以降に製造する分からGMPに沿った製造も求められています。