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遺伝子検査の費用:種類別の相場と分かること・分からないこと

市販のキットは15,400〜25,300円で保険は使えず、病院の遺伝学的検査は国が定めた病気なら保険で3割負担1.2万〜2.4万円、がん遺伝子パネル検査は総額56万円で高額療養費の対象です。種類ごとの費用と、結果で分かること・分からないことを整理しました。

結論

「遺伝子検査」の費用は、検査の種類で大きく変わります。自宅で唾液などを送る市販のキットは、今回価格を確かめた4商品で15,400〜25,300円(税込)で、健康保険は使えません。病院で病気の診断を確かめる遺伝学的検査は、国が定めた病気なら保険が使え、検査の値段は3,880〜8,000点(3割負担で11,640〜24,000円)です。がんの治療薬の手がかりを探すがん遺伝子パネル検査は総額56万円(3割負担で16万8千円)ですが、高額療養費制度で月の支払いに上限があります。市販のキットは体質や病気へのかかりやすさの傾向を見るもので、診断の代わりにはなりません。

この記事の基準日: 2026年11月6日。厚生労働省の診療報酬点数表(2026年6月1日適用)と高額療養費の資料、国立がん研究センター東病院の Q&A、日本医学会・個人情報保護委員会・こども家庭庁の資料、海外の論文2本、検査会社と販売元の公式ページを開いて書きました。医師の監修は受けていません。

遺伝子検査の費用は、なぜ数千円から数十万円まで幅があるのか

「遺伝子検査 費用」で調べると、目的のまったく違う検査が同じ言葉で出てきます。費用の決まり方も違うので、まず自分が知りたいことがどれに当たるかを分けると、相場を比べやすくなります。大きく分けると次の3つです。

  • 市販の遺伝子検査キット: 医療機関を通さず、自宅で採った唾液などを郵送し、体質や病気へのかかりやすさの「傾向」を知るもの。医療ではないため健康保険の対象外で、値段は販売元が決めます。
  • 医療機関で行う遺伝学的検査: 生まれつきの遺伝子の変化を調べ、病気の診断を確かめるもの。国が定めた病気で、届け出をした医療機関が行う場合は保険が使え、値段は国の「診療報酬点数表」で決まります。点数は1点10円で計算します。
  • そのほかの目的の検査: がんの組織などの遺伝子を調べて治療薬を探す「がん遺伝子パネル検査」(条件を満たせば保険)、妊娠中に胎児の染色体の変化の可能性を調べる「出生前検査」(自費)、血縁を確かめる「DNA 鑑定」(自費)。

保険の検査の自己負担は、点数に10円を掛けた医療費の1〜3割です。自費の検査は、医療機関や会社ごとに値段が違います。種類ごとの目安を表にまとめました。

種類主な目的保険費用の目安
市販の遺伝子検査キット体質・病気へのかかりやすさの傾向使えない15,400〜25,300円(全ゲノムを読む物は149,990円)
医療機関の遺伝学的検査(保険)国が定めた病気の診断を確かめる使える検査は3,880〜8,000点。3割負担で11,640〜24,000円に診察料などが加わる
医療機関の遺伝学的検査(保険外)保険の対象にない病気の検査使えない検査会社1社の一覧で、病気ごとの検査は38,500〜60,500円(多くは38,500円か49,500円)。これに医療機関の費用が加わる
がん遺伝子パネル検査がんの治療薬の手がかりを探す条件を満たせば使える総額56万円。3割負担で16万8千円(高額療養費の対象)
BRCA1/2 遺伝子検査遺伝性乳がん卵巣がんの判定など一定の基準を満たせば使える20,200点。3割負担で60,600円
出生前検査(NIPT)胎児の3つの染色体の数の変化の可能性使えない10万円弱〜20万円
DNA 鑑定(親子)血縁の確認使えない1社の例で私的鑑定24,800円・法的鑑定88,000円

出典: 厚生労働省「医科診療報酬点数表」(2026年6月1日適用)、国立がん研究センター東病院「よくあるご質問」、出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは」、かずさ遺伝子検査室と各販売元の公式ページ(2026年11月5日・6日に確認)。

市販の遺伝子検査キットはいくらで、価格の差は何から来るのか

販売元の公式ページを開いて確かめた通常価格です。クーポン・まとめ買い・セット割の価格は除きました。

商品価格(税込)公式ページの表示結果までの目安取得日
chatGENE15,400円400項目(男性は392項目・女性は397項目)。送料無料。対象は18歳以上検体の到着後2〜3週間2026年11月5日
GeneLife Genesis2.0 Plus16,900円約360項目。送料無料。結果の閲覧期限なし検体の到着後8営業日2026年11月5日
seeDNA DNAスコア遺伝子検査24,800円がん31種・ほかの病気187種・才能と体質87項目。送料込み通常7〜9営業日2026年11月6日
chatGENE Pro25,300円500項目。祖先の解析つき。送料無料このページでは確かめていない2026年11月5日
GeneLife 全ゲノム解析遺伝子検査キット WGS149,990円6,500項目以上(約6,200の病気の項目を含む)。送料無料検体の到着後8週間2026年11月6日

出典: 各商品の公式ページ(価格は取得日の税込の通常価格。2026年11月5日・6日に確認)。

唾液などを送って体質や病気へのかかりやすさをまとめて調べる検査は、今回の4商品で15,400〜25,300円でした。体の設計図の全体(全ゲノム)を読む検査になると、値段はその4商品のおよそ6〜10倍になります。

価格の差は主に、調べる項目の数、遺伝子を読む範囲(決まった位置だけを読むか、配列を広く読むか)、祖先の解析やアプリの機能の有無から来ています。ただし、項目の数はそれぞれの項目の根拠がどれだけ確かかを表してはいません。後の節で述べるとおり、病気へのかかりやすさの判定には、医療の判断に使えるほど確かめられていない物が多いとされています。

商品ページの書き方にも違いがありました。seeDNA は、この検査が医療行為ではなく医師の診断とは異なると明記していました。GeneLife の全ゲノム解析のページには、検査を受けるには研究協力への同意が必須であることと、結果は提携医療機関の医療従事者とのオンラインの相談の時から確かめられることが書かれていました。一方、今回開いた chatGENE と GeneLife Genesis2.0 Plus の商品ページでは、診断ではないという説明や、データの研究利用・削除についての説明を本文で見つけられず、同意書やプライバシーポリシーへのリンクがあるだけでした。買う前に、それらの文書を開いて読んでおくと、後で困ることが減ります。

病院の遺伝学的検査は保険が使えるのか、自己負担はいくらか

医療機関で病気の診断のために行う遺伝学的検査は、診療報酬点数表の「D006-4 遺伝学的検査」で値段が決まっています。2026年6月1日から適用されている点数表では、検査の処理の難しさで3段階に分かれています。保険が使えるのは、厚生労働大臣が定める病気の患者に、施設基準を届け出た医療機関が行う場合に限られます。1回に採った検体で複数の遺伝子の病気を調べた場合は、主な検査の点数に、ほかの検査の点数の半分を足して計算します。

項目(点数表の区分)点数医療費3割負担2割負担1割負担
遺伝学的検査: 処理が容易なもの(D006-4)3,880点38,800円11,640円7,760円3,880円
遺伝学的検査: 処理が複雑なもの(D006-4)5,000点50,000円15,000円10,000円5,000円
遺伝学的検査: 処理が極めて複雑なもの(D006-4)8,000点80,000円24,000円16,000円8,000円
遺伝子関連・染色体検査判断料(D026・月1回)100点1,000円300円200円100円
遺伝性疾患療養指導管理料: 検査前の文書での説明(B001-11)300点3,000円900円600円300円
遺伝性疾患療養指導管理料: 結果に基づく指導・初回(B001-11)700点7,000円2,100円1,400円700円

出典: 厚生労働省「医科診療報酬点数表」(令和8年厚生労働省告示第69号・2026年6月1日適用)。医療費は「診療報酬の算定方法」の1点10円で計算。窓口の支払いには、このほか初診料・再診料などが加わります(2026年11月6日に確認)。

どの病気がどの段階に当たるかは、病気ごとに決まっています。遺伝学的検査を請け負う検査会社の一つ、かずさ遺伝子検査室(公益財団法人かずさDNA研究所)の保険の検査の一覧では、たとえばファブリー病は3,880点、フェニルケトン尿症は5,000点、マルファン症候群/ロイス・ディーツ症候群は8,000点として案内されています。

検査の前後の説明にも点数があります。2026年6月から適用の点数表には「遺伝性疾患療養指導管理料」があり、難病や遺伝性腫瘍の検査の前に必要性や診療方針を文書で説明した場合が300点、検査の結果に基づいて療養の指導をした場合が初回700点・2回目200点です。どれも施設基準の届け出が要り、患者1人につき1回です。

保険が使えない病気の検査は自費になる

保険の対象にない病気の遺伝学的検査は自費です。かずさ遺伝子検査室の保険外の検査の一覧では、1つの病気の遺伝子検査として、BHD症候群・血友病A・βサラセミアなどが38,500円、成長障害・骨形成不全症などが49,500円、常染色体優性多発性嚢胞腎・滑脳症などが55,000円(いずれも税込)といった価格が並んでいます。がん関連の遺伝子の決まった1か所だけを調べるシングルサイト解析は、1か所11,000円(税込)です。

これは医療機関が検査会社に払う価格で、同社の一覧には個人からの振り込みは受け付けないと書かれています。患者が払う額は、ここに診察や遺伝カウンセリングの費用が加わり、医療機関ごとに違います。結果の報告は、検体を受け取ってから60営業日以内が目安とされています。

がん遺伝子パネル検査はいくらで、誰が保険で受けられるのか

がん遺伝子パネル検査は、がんの組織や血液を使って多くの遺伝子を一度に調べ、使える可能性のある治療薬の手がかりを探す検査です。点数表では「がんゲノムプロファイリング検査」(44,000点)と、専門家の検討会で結果を検討したうえで治療方針などを文書で説明する「がんゲノムプロファイリング評価提供料」(12,000点、患者1人につき1回)の2つからなり、合わせて56,000点、医療費は56万円です。

項目(点数表の区分)点数医療費3割負担
がんゲノムプロファイリング検査(D006-19)44,000点440,000円132,000円
がんゲノムプロファイリング評価提供料(B011-5)12,000点120,000円36,000円
合計56,000点560,000円168,000円

出典: 厚生労働省「医科診療報酬点数表」(2026年6月1日適用)、国立がん研究センター東病院「よくあるご質問」(2025年5月21日更新)。同院の説明では、自己負担は1割で5万6千円、2割で11万2千円、3割で16万8千円で、検体の準備などの費用が別にかかります(2026年11月5日・6日に確認)。

国立がん研究センター東病院の Q&A によると、保険で受けられるのは、標準治療がない固形がん、または局所進行や転移があり標準治療が終わった(終わる見込みを含む)固形がんの患者で、検査の後に薬物療法を受ける可能性が高いと主治医が判断した人です。保険で使える検査は2024年4月時点で5種類(OncoGuide NCC オンコパネル システム、FoundationOne CDx、FoundationOne Liquid CDx、Guardant360 CDx、GenMineTOP)で、結果が分かるまで1〜2か月ほどかかるとされています。

費用に見合うかを考えるうえで大事なのは、見つかる割合です。同じ Q&A では、遺伝子の変化が見つかる人は5割程度、その結果に基づいた治療を受けられた人は1割程度とされています。調べても、使える薬が見つからない人の方が多い検査です。また、血液の細胞も調べる一部の検査(NCC オンコパネルと GenMineTOP)では、生まれ持った遺伝性腫瘍に関わる変化が見つかる可能性があるとされています。

なお、2026年6月から適用の点数表には、「造血器腫瘍又は類縁疾患を対象とする場合」(44,000点)の区分も載っています。東病院の Q&A(2025年5月更新)は血液のがんを対象外としており、点数表の改定より前の説明です。血液のがんで受けられるかどうか、どの検査が使えるかは、主治医に確かめてください。

遺伝性乳がん卵巣がんの BRCA1/2 遺伝子検査

乳がんや卵巣がんなどに関わる BRCA1・BRCA2 の遺伝子検査は、点数表の「BRCA1/2 遺伝子検査」で、腫瘍の細胞を使う場合も血液を使う場合も20,200点(医療費202,000円、3割負担で60,600円)です。施設基準を届け出た医療機関で行う場合に限られます。国立がん研究センターのがん情報サービスによると、一定の基準を満たす人のこの検査は2020年度から保険の対象になり、乳がんか卵巣がんになったことがあり BRCA1 か BRCA2 に変化がある人は、乳房や卵管・卵巣を切除するリスク低減手術も保険の対象になりました。基準の詳しい中身は、同サイトの参考資料か主治医に確かめてください。

高額療養費制度を使うと、月の支払いはいくらまでになるのか

保険の検査で医療費が高くなった月は、高額療養費制度で自己負担に上限があります。上限は年齢と所得で決まり、2026年8月から見直されました。70歳未満の上限は次のとおりです(2026年8月〜2027年7月の表)。

年収の目安月の上限多数回該当年間の上限
約1,160万円〜270,300円+(医療費−901,000円)×1%140,100円1,680,000円
約770万〜約1,160万円179,100円+(医療費−597,000円)×1%93,000円1,110,000円
約370万〜約770万円85,800円+(医療費−286,000円)×1%44,400円530,000円
〜約370万円61,500円44,400円530,000円
住民税非課税36,900円24,600円290,000円

出典: 厚生労働省「患者負担割合及び高額療養費自己負担限度額(令和8年8月〜令和9年7月)」、同「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月31日更新)。多数回該当は、直近12か月に上限に達した月が3か月以上ある場合の4か月目からの上限。年間の上限は8月から翌年7月までの合計(2026年11月6日に確認)。

がん遺伝子パネル検査の56万円が、ほかの診療と重ならずに同じ月にかかったとして計算すると、次のようになります(70歳未満・3割負担)。

  • 年収約370万〜約770万円: 85,800円+(560,000円−286,000円)×1%=88,540円。窓口で払う168,000円との差、79,460円が払い戻されます。
  • 年収約370万円まで: 上限は61,500円です。
  • 住民税非課税: 上限は36,900円です。
  • 年収約770万円以上: 上限の額が168,000円より高いため、168,000円のままです。

上限は月ごとに計算されるため、検査とその後の結果の説明が別の月になったり、同じ月に診察や薬の費用が加わったりすると、金額は変わります。マイナ保険証を使うか、事前に限度額適用認定証を受け取っておけば、窓口の支払い自体を上限までにできます。厚生労働省は、2027年8月から所得の区分をさらに細かく分けるとしています。同じ資料の2027年8月からの表では、たとえば年収約370万〜約770万円の区分が3つに分かれ、月の上限は約370万〜約510万円で今と同じ85,800円+(医療費−286,000円)×1%、約510万〜約650万円で98,100円+(医療費−327,000円)×1%、約650万〜約770万円で110,400円+(医療費−368,000円)×1%です。上の56万円の例に当てはめると、それぞれ88,540円・100,430円・112,320円になります。70歳以上は別の表です。

出生前検査(NIPT)と DNA 鑑定はいくらかかるのか

妊娠中に胎児の染色体などを調べる出生前検査は、こども家庭庁の情報サイトによると、いずれも自費診療で、費用は医療機関によって違います。日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会のサイトでは、出生前検査の費用は検査や施設によって数万円〜20万円ほど、NIPT(妊婦の血液で胎児の染色体の数の変化を調べる検査)は10万円弱〜20万円で、採血から結果まで1〜2週間とされています。調べる対象は、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの3つです。

実例として、運営委員会の認証を受けた基幹施設の一つ、高槻病院(社会医療法人愛仁会)の案内(2026年9月から)では、NIPT の分析費用が89,000円、遺伝カウンセリング料が1回5,500円、助産師による出生前相談外来が2,750円でした。NIPT の陽性は、病気がある可能性が高いという意味です。確かめるには、羊水検査などの確定的な検査が別に要ります。

親子の DNA 鑑定は、健康のための検査ではありませんが、「遺伝子検査 費用」の検索でよく出てきます。鑑定会社 seeDNA の案内では、個人的な確認のための私的鑑定が24,800円(往復送料・税込)、調停や裁判で使う法的鑑定が88,000円(同社の解説ページの表示)です。法的鑑定は、本人確認書類の提示と、弁護士などの法律関係者の立会いのもとでの検体の採取が要ります。

市販のキットで分かること・分からないこと

市販のキットが示すのは、主に体質の傾向、生活習慣病のように多くの遺伝子と環境が関わる病気(多因子疾患)へのかかりやすさの確率、祖先のルーツです。日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」の Q&A(2022年3月改定)は、多因子疾患へのかかりやすさの検査結果は確率の情報で、臨床的な有用性が証明されている物は少なく、行うなら科学的な根拠を明確にする必要があるとしています。

まれな病気の遺伝子の変化は、読み違いが多い

消費者向けの検査で使われてきた方式に、決まった位置の一塩基の違いだけを読む「SNP チップ」があります。英国の UK Biobank の49,908人で、SNP チップの結果を遺伝子の配列を直接読んだ結果(シーケンス)と比べた研究(BMJ、2021年)では、よくある変化については感度・特異度などがいずれも99%を超えていました。一方、集団の0.001%未満にしかない非常にまれな変化では、SNP チップで見つかった4,757件のうち、シーケンスで確かめられたのは16%だけでした。

同じ研究で BRCA1・BRCA2 の病気に関わるまれな変化を見ると、感度(本当にある変化を見つける割合)は34.6%、陽性的中率(「ある」と出た物が本当にある割合)は4.2%でした。消費者向けの検査のデータを公開していた21人では、20人に少なくとも1つ、誤って「病気に関わる変化がある」とされた結果がありました。著者らは、非常にまれな変化について SNP チップの結果を確かめずに健康の判断に使うべきではないと結論しています。

米国の臨床検査会社が、消費者向け検査の生データで変化を指摘された49人の検体を確かめ直した報告(Genetics in Medicine、2018年)でも、生データで報告された変化の40%は確認できない偽陽性でした。消費者向けのデータや解釈サービスで「リスクが高い」とされた変化の一部は、臨床検査機関では良性と判定され、集団の中ではよくある変化でした。

これらの研究から言えるのは、二つのことです。キットで遺伝性のがんなどに関わる変化が「ある」と出ても、医療機関の検査で確かめるまでは判断に使わないこと。逆に「ない」と出ても、まれな変化を見落としている可能性があり、安心の材料にはならないことです。ただし、どちらの研究も海外の方式とデータで、上の表の各商品が同じ方式かどうか、どれほどの精度かは、今回開いた商品ページの説明からは確かめられませんでした。

子どもに受けさせる前に

日本医学会の同じ Q&A は、大人になってから発症する病気の発症前の検査は、子どものうちに行わないことによる健康管理上の不利益がなければ、本人が成人して自分で判断できるまで延ばすべきだとしています。今回調べた chatGENE は、対象を18歳以上としていました。

結果やデータはどう扱われ、何に気をつけるのか

遺伝子の情報は一生変わらず、血のつながった家族とも一部を共有します。個人情報保護委員会の Q&A では、全ゲノムの配列などのゲノムデータは「個人識別符号」に当たり、名前が付いていなくても個人情報として扱われます(がんだけに後から生じた変化の部分など、一部だけを取り出したデータは当たらない場合があるとされています)。

遺伝子検査を事業として行う会社向けには、個人情報保護委員会と経済産業省の「経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン」(2017年制定、2024年3月改正)があります。事前に十分に説明して文書などで同意を得ること、第三者への提供は原則として行わないこと、結果を伝える時に必要に応じて遺伝カウンセリングを受けられる体制を整えること、本人が同意の撤回を求めたら応じるのが望ましく、その際は本人が別の扱いを望む場合を除いて、個人を識別できない形にして廃棄すること、検査の分析の確かさと科学的な根拠を確保することなどが書かれています。申し込む前に、同意書で研究への利用の有無、データと検体の保存期間、削除の求め方を確かめておきましょう。

2023年6月には「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」(ゲノム医療推進法)が公布されました。国が、ゲノム情報の適正な取扱い(第15条)と、ゲノム情報による不当な差別への対応(第16条)について施策を講じるとし、医療以外の目的で行う解析にも同じ施策を講じるとしています(第17条第2項)。厚生労働省の労働分野の Q&A(2024年8月)は、職業安定法のもとで採用選考の際に応募者の遺伝情報を集めてはならないこと、会社から検査結果の提出を求められても応じる必要はないこと、ゲノム情報だけを理由にした解雇や配置転換などは無効または権利の濫用になりうることを示しています。

費用に見合うかを決める前に、何を確かめればよいか

  • 目的を一つに決める。体質の傾向を知りたいならキット、家族に同じ病気が多いなど遺伝性の病気が心配なら医療機関の遺伝の外来、がんの治療中なら主治医にパネル検査の条件、と相談先が違います。
  • 保険が使えるかは、病気・検査・医療機関の3つで決まります。保険の検査は、施設基準を届け出た医療機関でしか受けられません。
  • キットは、税込価格・送料・追加の費用(検体の取り直しなど)、結果の閲覧期限、対象年齢を見ます。
  • 同意書とプライバシーポリシーで、研究への利用、第三者への提供、データと検体の削除の方法を確かめます。
  • キットで「リスクが高い」と出た遺伝性の病気の変化は、医療機関で確かめ直す前提で考えます。「リスクが低い」と出ても、気になる家族歴があれば医療機関に相談します。
  • 高額になりそうな保険の検査は、加入している健康保険の窓口で上限額を確かめ、マイナ保険証か限度額適用認定証を用意します。

注意

市販の遺伝子検査キットの結果は傾向を示すもので、医師の診断の代わりにはなりません。結果を見て、治療や薬を自分の判断でやめたり変えたりしないでください。持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中の人、家族に遺伝性の病気がある人は、検査を受ける前と結果が出た後に医師に相談してください。医療機関の遺伝学的検査や出生前検査では、遺伝カウンセリングで検査の利点と限界を聞いてから、受けるかどうかを決めることができます。

まだ分かっていないこと

  • 市販のキットの結果を知って生活を変えた人で、病気が減るなど健康の結果が良くなるかは、今回読んだ資料では確かめられていません。日本医学会は、多因子疾患へのかかりやすさの検査で臨床的な有用性が証明された物は少ないとしています。
  • 日本で売られているキットの偽陽性や見落としの割合は、公表されたデータを見つけられませんでした。この記事の数字は英国と米国の研究です。
  • 各キットがどの方式で遺伝子を読み、病気に関わる変化を医療機関の方法で確かめ直しているかは、商品ページでは確かめられませんでした。
  • 2026年6月の点数表に載った血液のがん向けのがん遺伝子パネル検査について、どの検査がいつから使えるかは確かめられませんでした。

出典

よくある質問

遺伝子検査は保険適用ですか?

種類によります。市販の遺伝子検査キットは医療ではないため保険は使えません。医療機関で病気の診断を確かめる遺伝学的検査は、厚生労働大臣が定める病気の患者に、施設基準を届け出た医療機関が行う場合に保険が使えます(2026年6月からの点数表で3,880〜8,000点)。がん遺伝子パネル検査は、標準治療がないか終わった固形がんなどの条件を満たすと保険の対象です。出生前検査(NIPTなど)とDNA鑑定は自費です。

がん遺伝子パネル検査の自己負担はいくらですか?

保険診療での総額は56万円(検査44,000点と評価提供料12,000点)で、自己負担は1割で5万6千円、2割で11万2千円、3割で16万8千円です。検体の準備などの費用が別にかかります。高額療養費制度の対象で、70歳未満・年収約370万〜約770万円の人が同じ月に医療費56万円かかった場合、2026年8月からの計算では月の上限は88,540円です。

市販の遺伝子検査キットの費用の相場はいくらですか?

2026年11月5日・6日に公式ページで確かめた税込の通常価格では、唾液などを送って体質や病気へのかかりやすさを調べる4商品が15,400〜25,300円、全ゲノムを読む検査が149,990円でした。価格の差は項目の数、遺伝子を読む範囲、祖先の解析やアプリの機能などから来ていて、項目の数は根拠の確かさを表していません。

遺伝子検査のデメリットは何ですか?

市販のキットでは、まれな病気の遺伝子の変化の読み違いが報告されています。英国の研究では、BRCA1/2のまれな変化についてSNPチップで「ある」と出た結果が本当だった割合は4.2%、本当にある変化を見つけた割合は34.6%でした。陽性でも医療機関で確かめ直す必要があり、陰性でも安心の材料になりません。結果は一生変わらず家族にも関わるので、データの扱いを同意書で確かめる必要もあります。

遺伝子検査の結果を会社に出す必要はありますか?

厚生労働省の労働分野のQ&Aでは、採用選考で応募者の遺伝情報を集めてはならないとされ、採用後に会社から検査結果の提出を求められても応じる必要はないとされています。ゲノム情報だけを理由にした解雇や配置転換などは、無効または権利の濫用になりうるとされています。

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